訪日市場 Expert eyes(2022年6月7日配信)
6月10日からの「外国人観光客の添乗員付きパッケージツアーの受入開始」に向けて、旅行業者や宿泊事業者等が留意すべき点をまとめたガイドラインが6月7日に観光庁より公表されました。
本ガイドラインは、5月に観光庁が実施した「訪日観光実証事業」で得られた知見も反映して、感染拡大防止のために留意すべき事項や、陽性者発生時を含む緊急時の対応に関し、ツアーの造成から終了に至るまでの各段階で、旅行業者、旅行サービス手配業者、添乗員、宿泊事業者等(※)の観光関係者が取るべき対応について整理したものです。
※宿泊事業者等に小売店を含みます(観光庁に確認済)
本文版を熟読することをおすすめしますが、ここでは骨子版より主な内容を抜粋してお伝えします。
感染拡大防止のために各観光関係者が留意すべき事項
① ツアー造成時
・旅行業者等は、密を避けて感染拡大防止に配慮した行程を作成すること。
・旅行業者等は、感染防止対策を徹底している施設等を活用すること。
② ツアー販売時
・旅行業者等は、ツアー参加者に対して感染防止対策等を説明し、同意を得ること。
③ ツアー実施前
・旅行業者等は、添乗員に対し、研修等を実施し、感染防止対策の意義や取るべき対応等について十分に理解させること。
・宿泊事業者等は、感染防止対策が適切に実施されるよう、外国語のリーフレット掲示等を行うこと。
④ ツアー実施中
・添乗員は、対応に迷う場合、周囲の状況や国内でのスタンダードに照らして判断を行うこと。
・添乗員は、最新のマスク着用の考え方について十分に理解すること。
(※飲食店における座席配置の固定化等により、濃厚接触者の範囲を最小限に抑制)
陽性者発生時を含む緊急時の対応
ツアー実施中、旅行業者等及び添乗員は、有症状者が発生した場合、以下の対応を行うこと。
▶ 当該有症状者のツアーからの速やかな離団
▶ 当該有症状者の医療機関への受診対応
▶ 専門的な医療通訳の手配 等
▶ 陽性者が発生した場合は、リスクに応じて適切に濃厚接触者の範囲を特定
▶ 待機期間中から帰国までのサポート
▶ 陽性者及び濃厚接触者以外のツアー参加者に対し、ツアー継続が可能である旨の説明 等
ポイント
6月10日からのパッケージツアーに対応したガイドラインが本日公表されましたが、あくまでもガイドラインですので法律や規則ではありません。
それでも、指針なきままでは進めにくいツアーの運用に一定の方向性が示されたわけですので、今のフェーズでは旅行業者は順守していきます。
小売事業者としては、旅行業者が事前に策定するパッケージツアーの行程の中に自店を入れてくれるのが理想です。そしてその選択を求めるなら「感染防止対策を徹底している施設」という項目に注目し、いま自店が行っている同対策をしっかりとサイト上でPRすることも大事でしょう。
そして、小売事業者も含め「感染防止対策が適切に実施されるよう、外国語のリーフレット掲示等を行うこと」ということもガイドラインに記載されています。通常の多言語表記だけでなく、感染防止対策に関する多言語表記も行うことが重要です。
施設内にレストランがある場合には、座席配置にも触れられていますので確認しておいてください。
今回のガイドラインを受けて、必ずしも「対応=パッケージツアーの行程に選ばれる」というわけではありませんが、いずれにしてもwithコロナでの外国人受入れでは今後も必要な対応と考えましょう。
ジャパンショッピングツーリズム協会
訪⽇市場チーフアナリスト 神林淳氏
首都圏百貨店において、婦人服・リビング用品バイヤーを経て販売推進部に11年間所属。販売促進・広告・広報・装飾などに携わりながら、地域密着の方針のもと店舗営業計画の策定を行う。2016年、USPジャパンに⼊社。⽇本百貨店協会をはじめ、多くの⼩売事業者のインバウンド対応アドバイザーに従事。近年は東京都派遣型アドバイザー・セミナー講師として、飲食店、観光施設、宿泊施設・交通事業者など多岐にわたるインバウンドサポートを⾏っている。またインバウンドの諸問題解決のために国土交通省と連携した「境港の港湾免税販売」や「横浜港のクルーズ事業活性化」の実証実験を担当。⼀⽅で、経産省と連携して「プレミアムフライデー」の啓蒙および地⽅案件プロデュースも⾏っている。観光庁「世界⽔準のDMO形成促進事業」における外部専⾨⼈材に選定。
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MAIL:pr@jsto.or.jp
- 情報戦略・広報部 池田大作
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