一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会

訪日市場 Expert eyes(2024年10月26日配信)

訪日市場 Expert eyes(2024年10月26日配信)

私がこの原稿を書いている今、
ドジャースVSヤンキースが海を越えて話題を独占しています。
この文章を皆さんが読んでくださる頃には何らかの結果が出ていると思いますが…。

さてヤンキースというと自分はジョー・ディマジオを連想します。(古いですね…www)
寡黙で紳士的できっちりと結果を残す、私の仕事ぶりとは対照的なディマジオに憧れたりもしますが、野球好き以外は知らない人も多い存在だと思っています。
ディマジオを語るときに切っても切り離せない人物は結婚相手だったマリリン・モンローですね。
こちらは誰もが知っているアメリカを象徴するような女性です。

モンローが残した、彼女のある一面を見事に表現した言葉があります。
「私がこの世で何をおいても求めているものは、愛し愛されること」
華やかな生き方の陰で孤独感に覆われていたモンローは、相思相愛の価値を一番理解していたのではないでしょうか。


写真=イメージ

 

やっぱりフレンドリーな台湾の人々

9月に3泊4日で台湾に行ってきました。
台中から台北に移動しながら、訪日旅行を販売する旅行会社10社、日台ビジネスのコーディネーター、そして日本台湾交流協会の方々と4日間かけてディスカッションすることができました。

とても有意義な会話ができましたがそれ以上に連日感じ続けていたのは、私に対する台湾の方たちのフレンドリーな態度です。
とにかく笑顔で好意的に話しかけ、そして常に気を遣ってくれるところなど、私の器の小ささというか気が利かないところというか、一言で言うと人として私は「完敗」だったと思います。

それは街を歩いている最中にも感じられました。
道をたずねたときには台湾人青年が長い時間をかけて目的地への行き方を説明してくれ、暑くて大汗をかいてコンビニに入ったときには店員さんが「そこに座って休んだらどうだ」と言ってくれました。
台湾訪問は3回目ですが、いつも変わらぬ台湾の方の心からのやさしさにあらためて感激しました。
少なくとも日本人は多くの台湾の方に愛されているのだと思います。


写真=イメージ

 

訪日旅行への期待

以下は今回の目的の一つである訪台リサーチの話です。
台湾人ツーリストの最新動向・意向リサーチという点では、多くの旅行会社の方から様々な情報が収集できました。
以前からの、そして最新も含めて台湾人ツーリストの対日本情報を列挙してみます。

  1. 台湾人の旬のエリアは九州全般・長野県・東北、観光客過多ではないエリアへの訪問意欲が強い
  2. メイドインジャパンの服・カバンはあらためて人気が高い、品質と価格のバランスは重要
  3. 出来るだけ多く周遊したいので、買い物時間は2時間程度に抑えたい
  4. 揺るぎなく好きな日本の食はカニ・フルーツ・ラーメンで、食に関してはあまり冒険しない
  5. 同じく風景は雪・桜・紅葉だが、食と異なり“こんなところがあったのか”を探している面もある
  6. 二次交通の情報は重要、空港などの拠点から遠くても丁寧なアクセス情報があれば訪問したい
  7. 体験コンテンツは好きだが、時間がかかる・汚れる・面倒だと感じる体験は敬遠する

などなど、本当に多くの情報をいただきました。

そして口をそろえて話してくれたことは
「台湾国内には観光コンテンツが少ないので、近い・安い・親しみがある・地域特性が多彩など多くの
魅力を兼ね備えた日本への人気は遠い将来まで続くでしょう」
というようなありがたい内容です。

一方で、気になる言葉が私の脳裏に焼き付いているのも確かなのです。

 


写真=イメージ

 

インバウンド対応で大事な視点

「台湾人は親切に必ずお返しをしますので、日本で親切を受けたら多大なお返しをすると思います」
「台湾人はお年寄りを大切にしますので、日本でもそのような配慮があったらとても喜ぶと思います」
「台湾人は日本の人たちが大好きなので、笑顔で歓迎してくれたらとてもうれしくなると思います」
台湾の方たちはこのような主旨の話を何回もしてくれました。

気づいたと思いますが、すべて「~してくれたら」という話なのです。
そうです。
私たち日本人は、わざわざ台湾から日本に来てくれた皆さんに対して、「感謝」の気持ちをもって、心から「歓迎」しているのでしょうか。

ともすると、
「台湾人が増えている」
「台湾の免税売上が増加している」
という言葉でしか語っていないのではないでしょうか。

他国・他地域からのゲストに対してもそうなのですが、特に台湾の人たちは「日本が大好き」「日本人が大好き」と公言してくれているのです…。


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ホストができること

私はインバウンド対応が「売上対策」の側面としてとても重要だと思います。
それでも、もっと根底にある「人として」「企業として」の対ゲストへのあり方みたいなものもさらに重要なのだろうと考えています。
当たり前かもしれませんが、「笑顔で迎え」「どこから来たのか尋ねたり」「寒暖への配慮をしたり」「疲れに対して気遣ったり」「一緒に写真を撮ったり」ということが相手にとってどんなに貴重な体験になるかはかり知れません。
とにかくゲストが笑顔で帰ることがホストの本懐であるような気がしています。

訪日ゲストすべてにそのような対応ができた時に、最も喜んでくれるのはおそらく台湾人ゲストでしょう。大好きな日本人が自分たちに好意を持って接してくれるのですから。

結果として台湾人ゲストの購入額が伸長していく根底には、そんな「相思相愛」の想いがあってほしいですし、それが一番のコア・コンピタンス(他社に対する優位性)になるのだとも思います。

マリリン・モンローの言葉にはこのようなものもあります。

「私はお金が欲しいのではなく、ただ、すばらしい女性になりたいの」


写真=イメージ

 

ジャパンショッピングツーリズム協会
訪⽇市場チーフアナリスト 神林淳氏

首都圏百貨店において、婦人服・リビング用品バイヤーを経て販売推進部に11年間所属。販売促進・広告・広報・装飾などに携わりながら、地域密着の方針のもと店舗営業計画の策定を行う。2016年、USPジャパンに⼊社。⽇本百貨店協会をはじめ、多くの⼩売事業者のインバウンド対応アドバイザーに従事。近年は東京都派遣型アドバイザー・セミナー講師として、飲食店、観光施設、宿泊施設・交通事業者など多岐にわたるインバウンドサポートを⾏っている。またインバウンドの諸問題解決のために国土交通省と連携した「境港の港湾免税販売」や「横浜港のクルーズ事業活性化」の実証実験を担当。⼀⽅で、経産省と連携して「プレミアムフライデー」の啓蒙および地⽅案件プロデュースも⾏っている。観光庁「世界⽔準のDMO形成促進事業」における外部専⾨⼈材に選定。

本件に関するお問い合わせ
  • MAIL:pr@jsto.or.jp

  • 情報戦略・広報部 池田大作

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