【報告レポート】JSTOセミナーin関西

2025年10月3日(金)あべのハルカスにて、JSTOセミナーin関西を開催しました。皆さまのご協力により、開催が実現できましたこと、深く御礼申し上げます。
セミナーレポート

基調講演:
国土交通省 近畿運輸局 観光部 次長 森田正志 氏
大阪・関西万博後の関西のインバウンド戦略
1.現状分析:回復から拡張へ
・2024年の訪日外国人旅行者数:過去最高の3,687万人。
・関西エリア:2019年比で約45%増、1,574万人と過去最高を更新。
・宿泊は大阪・京都に9割集中。地方誘客の課題が残る。
・外国人消費額は8.1兆円(前年比53%増)。費目別では「宿泊」「買物」「飲食」の順。
・旅行者一人当たり支出は約23.9万円で横ばい。
2.万博後の展望と方針
・万博を契機とした取り組みを「レガシーとして継続・発展」させる。
・「新たな取組方針(〜2030年)」を策定し、関西の観光立国モデルを確立。
・地⽅誘客と広域連携を強化し、MICE・IRなど大規模イベントとも連動。
・2026年2月に方針公表、4月以降は地域観光施策を総合支援へ。
名言ハイライト
「関西の賑わいを万博の一過性で終わらせず、
“住んでよし、訪れてよし”の観光地域づくりを次代のレガシーに。」
パネルディスカッション:
阪急阪神百貨店 白井康之 氏
インバウンド研究所 劉賞美 氏
タワーナイブズ大阪 ビヨン・ハイバーグ 氏
コーディネーター:JSTO 神林淳
万博後のショッピングツーリズムを考える
「モノからコトへ、そして意味消費へ」と進化する観光消費のあり方を、百貨店・研究・現場の3つの視点からディスカッションされました。
◆百貨店の視点(阪急阪神百貨店 白井康之 氏)
・コロナ禍でも小規模体制でインバウンドを維持し、アテンド導入により単価上昇。
・「地域観光発展事業」と連携し、職人工房見学ツアーなどを継続。
・万博後は“都市×地方”の連携強化と「意味消費」への移行を重視。
名言ハイライト
「物を売るだけではなく、背景を伝えることが購買単価を上げる。
そして、それが職人に還元される仕組みをつくることが本当のショッピングツーリズムです。」
◆研究・調査の視点(インバウンド研究所 劉賞美 氏)
・外国人在留者ネットワークを活用し、リアルな声を吸い上げる調査を実施。
・「日本語の翻訳では伝わらない文化背景の説明」が課題。
・満足度を左右するのは「人の優しさ」と「スタッフ個人名」。口コミ分析でも、この2点を含む店舗は自然に集客が拡大。
・「モノを買う=その人との思い出を持ち帰ること」と指摘。
名言ハイライト
「“優しかった”と“名前を覚えている”——この二つの言葉が口コミを動かす。
買い物は、モノではなく“人との思い出”を持ち帰る体験なんです。」
◆現場・ものづくりの視点(タワーナイブズ大阪 ビヨン・ハイバーグ 氏)
・包丁を「売る」のではなく「教育」として伝え、背景を理解した上で購買につながる。
・職人の情熱を顧客に届けることで、技術継承と生産意欲を高める好循環を生む。
・「説明と体験」が価格競争を避け、価値販売を実現。
名言ハイライト
「ショッピングとは“教育”です。説明し、理解してもらうことで、職人もお客様も幸せになる。それが日本のものづくりを次の世代につなぐ力になる。」
◆神林淳(JSTO)
名言ハイライト
「“モノ×コト×意味”の掛け算が、これからの消費を変える。ショッピングは観光の終点ではなく、心に残るストーリーの始まりです。」
セミナーのスライドは下記より会員限定でダウンロードできます
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