一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会

「インバウンドセミナー」 報告(9/24開催)

「インバウンドセミナー」 報告(9/24開催)

 

9月のJSTOカレッジセミナーは、日本百貨店協会との共催でインバウンドの反転回復に向けた「インバウンドセミナー」を行いました。
日本百貨店協会 西田光宏常務理事の開会の挨拶で始まり、観光庁 観光地域振興部長 大野氏からは、日本の入国前後の防疫措置の現状とインバウンドの段階的復活計画について、日本政府観光局(JNTO)ロンドン事務所 所長 地主氏からは、コロナ禍における英国市場の現状とロンドン事務所の取組についてお話しを伺いました。
世界的なコロナウイルスの感染拡大の中、日本の小売業は「今何を準備すればいいのか」「今後どのような取組をすればいいのか」についての、ヒントをたくさんいただきました。

「インバウンド回復に向けた観光地域づくり」
観光庁 観光地域振興部長 大野達 氏

■訪日外国人旅行者の推移
2020年度の訪日外国人旅行者の数は、前年比マイナス87.1%
旅行消費額も7,446億円と大幅に減少

■回復の見通しについて
IATA(国際航空運送協会)によると、世界の旅行需要は2023年に2019年レベルを超えると予測。
UNWTO(国連世界観光機関)によると、2021年の国際観光はワクチン接種者に対する規制緩和やEUのデジタルCOVI証明書等のデジタルツールの活用により、国際観光客数の一定回復が見込まれる。
⇒ 日本の水際措置の規制緩和がカギになる。
⇒ アジアは短期滞在入国を原則認めない国が多い。
⇒ 欧米を中心に陰性証明の提出、ワクチン接種を条件として出発時に応じて入国可否を決定する国が出てきている。

■日本入国前後の防疫措置について
特段の事情がない限り、新規入国を禁止

日本へ入国・帰国した皆さまへ「14日間の待機期間中」のルール(入国者健康確認センター)

国は水際措置の段階的見直しに取り組み、日本経済団体連合会からは「隔離期間の短縮」
「ワクチン接種者の隔離免除」などの提言が出されており、今後の検討が期待される。

■コロナ後の訪日意向等について
今年5月の日本制作投資銀行、日本交通公社の2回の調査によると
コロナ後に旅行したい国・地域として、日本はアジアで2回とも1位、欧米豪でも1回目2位、2回目1位という結果が出ている。
理由は「清潔だから」という、日本の公衆衛生レベルが高く評価されている。

■インバウンドの段階的復活計画
・小規模分散型パッケージツアーの試行的実施(防止対策を徹底しつつ、管理されたパッケージツアー)
・JNTOにおいては、コロナ禍を経た旅行需要の変化に対応した訪日プロモーションを実施
(安全・安心の取組、不安払しょく、日本の多様な観光資源の魅力発信など)
・令和4年度観光庁の予算要求主要事項には、資金の支援、地域観光事業支援、デジタル化、人材育成のほかインバウンド回復までの新しいスタイルの国内旅行喚起を行う

■持続可能な観光推進モデル事業の推進
世界的に、自然環境の配慮、SDGsの取組がされているかに注目される
「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」の策定(2020年6月)、実践、モデル形成、全国展開を図っていく。

■アドベンチャーツーリズムの推進
①自然・文化といった豊富な観光資源を活用しした体験型コンテンツ、モデルツアーの造成
②コンテンツの発掘、磨き上げ、地域へのコーチングなどの支援
⇒ 富裕層をターゲット、安全・安心な目的地、地方部を含めた全国各地の消費機会の拡大を図る。
⇒ アドベンチャートラベルワールドサミット2021(9/20~24)を北海道でオンライン開催し、アドベンチャーツーリズムの魅力を発信。2023年には再び北海道でリアル開催が決定している。

■外国人旅行者の受入環境整備の支援
・多言語対応、無料Wi-Fi、公共交通、キャッシュレス対応などの困りごとの解消を支援を行い、快適なストレスフリーな環境を実現
・衛生、清潔、ウイルス対策全般の支援(サーモグラフィー、アクリルパーテーション、非接触チェックインシステム、混雑状況の見える化等)

■消費税免税制度の改正
免税対象者の明確化と手続き電子化により、免税販売手続きの効率化を図る

「先行する国イギリスの観光回復の取り組み」
日本政府観光局(JNTO)ロンドン事務所 所長 地主純 氏

先行する英国の現状と英国市場の現状と今後の見通し

1. コロナ禍における英国市場の現状

■英国での行動規制・出入国規制(コロナに関しては楽観的)

・ロックダウンの緩和:7/19 ロックダウン全解除

・出入国規制:感染状況に応じて「Red(リスクの高い国)」と「それ以外」の2つに区分
10/4以降さらに緩和

①英国からの出国:Red国への渡航自粛要請
②英国への入国
通常国:出国前72時間以内のPCR検査+10日間の自主隔離+入国後2回のPCR検査
Red国:出国前72時間以内のPCR検査+10日間の強制隔離+入国後2回のPCR検査

⇒ ロックダウンの緩和によって、国内旅行需要から戻ってきている
宿泊業はコロナ前の9割くらいに戻っている。旅行業は海外旅行者が多いことから戻りは遅いが回復傾向

2. 英国市場の見通し

■英国人の訪日旅行者数
少ない(1.3%)が、一人当たりの消費額が豪州について第2位(2.1%)

■コロナ禍における英国の旅行トレンド
旅行動向はあまり変わらないが、密をさける傾向が見られる
自然体験、ハイキング、トレッキング、自然体験が増えている
一方、テーマパーク、お祭り、イベントは減少傾向
ショッピングは屋内イベントに比べると、影響は限定的
コロナとは別の傾向として、サスティナビリティを考慮する人が増えている

■訪日旅行への期待
日本への期待と関心度は高い。Wanderlustの読者調査では訪問したい国ランキングNo.1。

■当面注意が必要な規制の動向
・英国の出入国規制で、日本がRed国にならない
・日本における英国の入国規制がいつになるかが注目

3. 英国市場におけるJNTOロンドン事務所の取組

2030年訪日客6,000万人の誘客に向けて、土台をしっかり立て直すことが重要
・オンラインによるラグジュアリー商談会は、参加者の9割以上が商談につながる
・商品造成・販売促進に向けた、旅行会社を対象に人材育成(E-learning)を運用
・公式SNS、公式ウェブサイト、メディアでの情報発信に取り組む
・選ばれる理由「清潔」をアピール、新型コロナウイルス感染証対策のピクトグラムの紹介

セミナー動画について

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